震災を乗り越え動物診療・陸前高田 菅原博文氏
平成23年3月11日東日本大震災の津波により動物病院、自宅、両親を失いながらも、5月9日に獣医療を再開した菅原博文先生(昭和55年卒)。
友人から借りた軽乗用車に診療道具を載せ、避難所から往診に向かう。甚大な被害を受けた陸前高田市で、多くの飼い主と動物の拠所として活躍している。
写真:2011年5月17日岩手日報に掲載された記事
徳島県で地域に貢献 斉藤慎也氏
上写真:日本大学生物資源科学部の2009年学部案内
下写真:2010年4月の徳島新聞に掲載された記事
アフリカで活躍する獣医師 神戸俊平氏
平成21年5月17日横浜赤レンガ倉庫にてアフリカン・フェスタ2009が開催された。その催しの中で「アフリカと神戸俊平友の会」が「人と野生動物の共存のために」と題し出展することを聞きつけ訪ねてみた。
民族衣装を身に着けた神戸氏は非常に生き生きとしており、野生動物の第一線で活躍する獣医師として威厳と品格を兼ね備えていた。
神戸氏は昭和44年卒農獣医学部獣医学科を卒業。しかし「当時は安保学生運動が盛んで学校にまともに行かなかった。」と振り返っていた。
その後3年間、福島県酪農協同組合で産業動物臨床に従事。しかしアフリカで野生動物のための仕事がしたいという夢を追い、昭和46年アフリカへ渡り5年ほど15カ国の動物保護区などをサファリした。
昭和51年ケニア・ナイロビ大学獣医学部修士課程に入学、動物孤児院に通いながら英語や修士論文に励んだ。
「日大の頃に熱帯特有の感染症をあまり学ばなかったから、アフリカで苦労をした。」著書には頭の毛が抜けるほど苦労したとあったが、最も勉強に集中した時期だったようである。
昭和56年修士課程を修了し、日本人第1号のケニア獣医師として、ナイロビ市で獣医病院を開業。その後、ナイロビから約170km西方に位置するマサイ族の地、ナロックマジモト村の家畜診療所を任せられた。ここでツェツェバエが媒介するトリパノソーマ病の予防と治療に力を注いだ。
現在も、獣医師・NGO(アフリカと神戸俊平友の会:http://www.s-kambevet.org)として、マサイ族の家畜の診療、野生動物保護・象牙国際取引反対運動・ODA開発事業による環境影響の問題提起・スラムとエイズ貧困問題などに取り組んでいる。
著書に「サバンナの話をしよう-獣医・俊平のアフリカ日記」「ボクとキキのアフリカサファリ」「熱血!動物のお医者さん」ほか多数。
(平成21年5月文責渋谷)
大学院4年井上快さん、本学で初めて日本獣医学会奨励賞を受賞
大学院4年井上快さん
大学院獣医学研究科4年の井上快さん(平成17年卒)が本学で初めて日本獣医学会奨励賞および大会長賞を受賞し、平成21年4月3日の第147回日本獣医学会学術集会(栃木県宇都宮市)で授賞式が行われました。
同賞は将来の発展が期待される優れた獣医学の研究を行った若手研究者に贈られるもので、受賞対象は「小型哺乳類を自然宿主とする病原性バルトネラ属菌の生態に関する研究」です。
井上さんは、2006年に獣医学研究科に入学して以来、日本の野生小型哺乳類と輸入齧歯類におけるBartonella属菌の分布状況、保有菌種ならびに宿主特異性等について細菌学的、分子生物学的手法を用いて精力的に研究を進めてきました。
その結果、わが国の野生小型哺乳類や輸入齧歯類にはバルトネラ属菌が高率に分布していることやBartonellagrahamii等の人に病原性を有する数菌種が高い宿主特異性を持って分布していることを初めて明らかにしました。さらに、わが国の齧歯類から新種のバルトネラ属菌を発見し、Bartonellajaponica、Bartonellasilvaticaとそれぞれ命名して細菌分類学の国際誌に登録しました。
井上さんの研究対象は国内のみにとどまらず、世界各国に分布するB.grahamiiの遺伝的多様性と地理的分布の関係について系統解析した結果、わが国に分布するB.grahamiiには極東ロシアおよび中国南部から移入したと思われる異なる2つの系統が存在すること、欧米のB.grahamiiの起源は北米にあり、宿主への適応進化と共にヨーロッパ諸国に広く分布した可能性を明らかにしました。
これらの研究成果は、国際学術雑誌(英文5報)、国際学会(4回)、国内学会発(19回)等に発表され、高く評価された結果として、栄誉ある受賞となりました。
(平成21年4月文責丸山)